- 2011.07.20
- 関の考え方
原子力発電の論点整理「第三回 各国の原子力発電状況」
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※このシリーズは,原子力発電設備の今後の取扱方針を考えてゆくために当該設備の現状を先ず把握することを目的としております。
原子力発電に深い知識を持って、今後の原子力発電に関するご自身の意見を持つためにご利用ください。
今回は、各国の原子力発電に対する国家方針や運営状況を確認してみよう。
米国
運転中104基、建設中1基、計画中31。2010年時点。
※建設、運転一括許可申請済みは28基
2007年に新規原子力発電所建設を再開。以前30年間は建設中断。
英国
運転中19基、建設中なし、計画中13基。2010年時点。
ガス炉の老朽化で2020年頃に数基に減少。
フランス
運転中58基、建設中1基、計画中2基。2010年時点。
原子力の余剰電力を輸出。
2005年、エネルギー指針法で原子力の役割の重要性を明示。
ロシア
運転中32基、建設中10基、建設中44基。2010年時点。
ガス火力の縮小、原子力発電の増大が基本方針。
原子力発電シェアを2007年の16%から2020年には25%超へ目標設定。
2014年までに次世代炉、原子炉、新型燃料の開発方針確認。
※2009年の大統領教書
ドイツ
運転中17基、建設中なし、計画中なし。2010年時点。
基本的に脱原発の方針。
スウェーデン
運転中10基、建設中なし、計画中なし。2010年時点。
1980年、2010年までに原子力発電所の全廃を決定。
2009年、脱原発政策を撤廃。
2010年、原子力発電建設を認める政府案可決。
フィンランド
運転中4基、建設中1基、計画中2基、2010年時点。 スイス運転中5基、建設中なし、計画中3基、2010年時点。
2007年に中長期の電力需要に新規原子力発電所の建設方針確認。
※「2035年までのエネルギー見通し」
イタリア
運転中なし、建設中なし、計画中10基、2010年現在。
1987年、前縁のチェルノブイリ原発事故を受けて政府が
既設発電所と新規建設を凍結。
日本
運転中54基、建設中及び計画中15基、2010年時点。日本は発電出力は、アメリカ、フランスに次いで、3番目。
この各国の状況を見ても分かる通り、欧米においても原子力発電施設の取組方針を過去に変更している。理論としての原子力と、人間の技術+運用能力として対応力の狭間にあって、各国も深い悩みをもって、原子力発電の取組方針を考えていることが見て取れる。
各国の地政的な環境はそれぞれ異なるので、世界的に確固たる方針というものは出せないが、このような各国の状況も参考にご自身の方針を考えて頂けたら幸甚です。